20220107

1/7-8 大山 積雪期アルパイン 吉田 小林

山域
霞沢岳 西尾根
日程
2022年1月7~8日
メンバー
吉田 小林
コースタイム
 
詳細
 

大山・三鈷峰 2022 年 1 月
 この山は、少々不遇をかこっている感がある。夏道ではユートピア小屋からすぐ目の前だし、大山主稜線から北に下る尾根の突起のようであり、大山寺あたりから見ると、大山主稜の付属物のようにも見える。
しかし、バリエーションがあるんです。尾根では北稜、北西稜。そして、西壁ルンゼ、北東ルンゼ。今回は、アルデの仲間と北東ルンゼおよび西壁ルンゼを目指した。

2022 年 1 月 6 日
 23時、米子駅前。大阪難波からの高速バスを降りた玉ちゃんを乗せて、入山口、香取へ向かう。
香取から大山寺に通じる車道の冬期通行止め地点脇の駐車場でテントを張る。軽くビールで寝るつもりが、つい黒霧に手を付けてしまい、寝たのは 2 時だった。

2022 年 1 月 7 日 曇り
 ちょっと遅めのスタート。7 時 45 分。
今日は、阿弥陀川を遡行し、三鈷峰北東ルンゼを目指す。
まず川床(夏道の阿弥陀川に架かる橋)へ向けて、車道を歩き出す。この辺りは足首上のラッセル。酒が残ってやたらと喉が渇く。9 時、夏道の橋に着く。

「駐車場からのスタート」

「阿弥陀川の様子(左上が上流)」

ここから阿弥陀川の遡行だが、積雪はあるものの川が埋まってない。水流が強く渡渉に相当の苦労を予想させる。以前、3 月に来たときは全く苦労しなかった記憶があるが、時期尚早だったか。
二人で相談。この先渡渉を繰り返すことになり相当濡れて萎えるだろう。転戦し、宝珠尾根から 2 日目予定の西壁ルンゼを目指そう。タイムリミットは中宝珠越え 12 時にしよう。
宝珠山まで冬期通行止めの道を経由し大山スキー場を登る。スキーヤーの邪魔にならないよう、ゲレンデの端っこを黙々と歩く。ゲレンデトップが遥か上に感じる。玉ちゃんがしきりに山じゃないと文句言ってる。私としてはラッセル無いだけラッキーって感じだった。


ゲレンデトップで一息つく。この辺りからガスに覆われアラレ状の雪が降ってきた。地元のおっちゃんから、どこまで行くの?と声かけられ、行けるところまでと曖昧に返事した。なんとなく気恥ずかしい。ここから、自然林のラッセル。尾根に上がって、しばらく進むと踏み跡が現れた。ゆるい傾斜で踏み跡をたどり宝珠山山頂へ到着。12 時 20 分。この時点で既に中宝珠越えのタイムリミットを過ぎている。明日のためにこのまま中宝珠越えまで行って、大山寺へ下り踏み跡をつけるという話も出たが、その労力と時間を考えて、引き返すことにする。ピークを踏めていい足慣らしになった(負け惜しみ度70%)。

「宝珠山山頂」

下りはサクサク。14 時に駐車場着。日が差してきて暖かい。早い時間から夕食の鍋を囲み、玉ちゃんと公私ともども話し込んで 18 時に就寝。

2022 年 1 月 8 日 晴れ
 今日は、大山寺から宝珠尾根を経由し、三鈷峰西壁ルンゼを目指す。
5 時起床。朝飯と身支度を整え、大山寺へ移動。駐車場にはスキーヤーはもちろん、登山者も大勢いる。


大山寺の駐車場から。三鈷峰は左端の小さく見える山。
7 時 30 分出発。いつもの大山寺への登り。登山者のほとんどは夏道登山道へ向かう。大神山神社から元谷への分岐まではしっかりした踏み跡をだどるが、下宝珠越えに向けてラッセルが始まる。膝上くらい、2 人で交代して行く。9 時 15 分、下宝珠越え。

「下宝珠越えへの登り」

下から 4 人組パーティーが来ていたが、宝珠山(反対方向)へ向かったようだ。中宝珠越えに向けて宝珠尾根を進む。中宝珠越え手前から西壁ルンゼがはっきり見えるが雪が詰まっているものの固いかどうか、分からない。とりあえずここから左へ下る。雪崩を警戒し一人ずつ下る。

「宝珠尾根」

 

「中宝珠越えから三鈷峰西壁。正面右から頂上へ左上するルンゼがγルンゼ。」

 そして、剣谷に出た。ここは谷が開けている。相変わらずのラッセルだ。4 年前の 2 月に来たときは、ここはしっかり固まっていた。11 時、西壁γルンゼの登攀を開始する。とはいえ、ラッセルでワカンのままだ。ルンゼの左端を延々と登る。ここは玉ちゃんがずっとトップで頑張った。
1 時間くらい登っただろうか。目の前には、大山特有の、灌木に雪が積もった傾斜の強い壁が現れた。
 目の前の雪壁に活路を見いだせず、右の枝尾根に上がった。三鈷峰はこの枝尾根を詰めて標高差にして 100m くらいだが、枝尾根は細く、ブッシュに雪が乗っかった厄介な状態。この時点で14 時。やむなく引き返すことにする。
 下りは早いが、バックステップで、なおかつラッセル跡が風雪で見えなくなり結構消耗する。唯一、ルンゼ下部で尻セードしたときは楽しかった。
宝珠尾根まで引き返したらほっとした。天気は良いのに登れなかった悔しさを抱え、大山寺へ下る。玉ちゃんは途中、天気がいいからやたらと「眠い」と言ってた。大神山神社まで来ると普通の登山者やガイドツアーの人たちとすれ違う。大山寺の駐車場に 16 時着。8 時間のラッセルでした。
 アイゼンもロープも出さず、三鈷峰は踏めず、今回の目標、「冬山を堪能」できたのだろうか?
下りで玉ちゃんが、「堪能しましたー」と言ってくれた。良かった。
下りの宝珠尾根から三鈷峰西壁ルンゼを見ながら、次に登るときの作戦を立てた。雪の締まった時期にリベンジしよう。
その後、温泉による時間もなく、玉ちゃんを米子駅に送った。

メモ:西壁ルンゼの適期は 1 月末から 2 月の、根雪が増えてかつ気温が下がった時期だろう。
北東ルンゼに行くなら、川の埋まる 2 月下旬から 3 月初旬くらいか。

記録:吉田