2015年2月14日 比良山堂満岳中央稜滑落事故報告

比良山堂満岳中央稜滑落事故報告書

日時:2015/02/14 (土)
天気:曇り
場所:比良山 堂満岳中央稜
事故内容:滑落
事故発生時刻:12:30頃
登攀メンバー:森田L、椿尾、八馬、松並、川平

■発生内容
 今回の山行は、ある程度アルデ山行に参加した新人の八馬さんにリードをして頂くことになった。
2ピッチ目と5ピッチ目を八馬さんにお願いする。
松並さん・川平さんは真ん中に入ってもらいユマールで登る。
2ピッチ目のリードは危なげなくこなしていた。
5ピッチ目、ルンゼ途中からチムニーを登る最終ピッチ。
「行けるか?」と聞くと「行けます」との回答だったのでリードを任せる。
ルンゼを約10メートル程登った所からチムニーに取りつき始める。
木が所々にあったが、中間支点をとっていなかった。ビレイヤーの椿尾さんは危険だと感じていたが、彼女の登攀スタイルだと思い口に出さなかった。
1.5メートル程登った所で、左手のホールドが抜け顔からグランドフォール。
支点を取っていないため急斜面のルンゼを滑り落ちる。
また、ゼロピンもとっていなかった為、ビレイヤーの横を滑り落ちる。
滑落場所から約20メートの所で止まる。
何度か声をかけたら大丈夫だと返事があったので意識はあることを確認。
ロープを仮固定し、森田さんが救出に向かう。幸いにも歩ける状態だったので下山開始。15時頃、登山口着。
森田さんの知り合いの方に協力をお願いし、大津赤十字志賀病院へ向かう。
怪我の結果、顔面裂傷のため3カ所縫合及び腫れ。他問題なし。
19時30分大阪着。
解散。

■問題点
①リード出来うる技量のない新人にリードを行わせたリーダーの判断。
②ビレイヤーに対してもリード者が新人であることに対して注意を促さなかったリーダーの判断。
③リーダーは堂満岳中央稜だから新人がリードしてもらっても大丈夫だろうと安易に考えていた。
④リードは中間支点を取っていなかった。
⑤リードはゼロピンを取っていなかった。そのため、滑落距離大きくかつビレイ状態からビレイヤーが抜け出しがたくなってしまった。
⑥ビレイヤーはリード者のスキルを把握できていなかった。
⑦中間支点を取っていなかった事に対してビレイヤーは危険だと感じていたが注意しなかった。

■今後の対策
①山行計画を作成するにあたって、山行メンバーと役員は山行の目的を明確にして共有する。
(登山届のフォームを少し見直しします。)
②リードは必ず中間支点を作る。
③ゼロピンは必ず取る。
④ビレイヤーはためらわず注意する。