2012年10月27日 明星山マニフェスト ヒヤリハット報告

明星山マニフェスト ヒヤリハット報告

2012年10月27日
山域 明星山P6南壁マニフェスト
メンバー 岡、岳友

参考資料 1.マニフェストトポ、2.鷲の巣ハング付近の写真
明星山マニフェスト、鷲ノ巣ハングから終了点までの最終ピッチで、事故一歩手前の危険な状況になりました。反省するとともに、今後の事故防止に繋がればと思い報告致します。

■前提
難易度が高いルートなので軽量化をはかり、ビバーク装備なし、ハーケン等も持参しなかった。
懸垂で2時間かかると計算し、日没17時だったので、15時を登攀終了時刻として決めていた。

■状況
鷲ノ巣ハングの洞穴に二人が着いた時点で14時40分頃だった。あと1ピッチで終了だったが、二人とも登るのは時間的に無理と判断。岡のみ最終ピッチを登攀し、終了点にロープをセット、懸垂でランナーを回収しながら鷲ノ巣ハングに戻ることにした。コールは届かないと思い、岳友は岡が戻るまでビレイ状態で待つことにした。
鷲ノ巣ハングの洞穴を出て、右上するクラック沿いに20mほど登ると岩稜帯が終わり緩傾斜帯に入った。ここに枯木の懸垂支点があったが、スリング等古く今はあまり利用されていないようだった。緩傾斜帯を左上するとJADEという新しいルート用のラッペルアンカーがあると聞いていたので、それを探すが見つからなかった(ぽっぽ会の杉山さんが偶然対岸から見ておられ、もっと奥にあったと後で言われた)。仕方なく枯木までクライムダウンして、懸垂支点を補強し、ランナーを回収しながら鷲の巣ハングに戻った。
鷲の巣ハングでロープを回収しようとするが、岩にロープが引っかかり抜けなかった。洞穴を出て、懸垂支点にぶら下がりながら右に10mほどトラバースすると残置ハーケン2個があったので、そこで自己確保。引っ張るとロープが動いたので、ロープを回収した。ロープ1本は岳友に離さず持っていてもらい、回収後は岳友と繋がったロープで鷲ノ巣ハングまで戻るつもりだった。間にランナーをとっていなかったが、最終ピッチを登った感覚から、戻るのは簡単と思っていた。しかし、いざ戻るとなると難しかった。鷲の巣ハングに戻るまでにピナクルがあり、ロープが引っ掛かっていたので、安全と思い意図的にぶら下がった。1mほど宙づり状態になったが、マッシャーで登り返した。ピナクルに辿りついた後、自分のスリングとカラビナをピナクルにかけランナーにし、ぶら下がりながら鷲ノ巣ハングまで戻った。
17時からヘッドライトをつけて懸垂を開始し、20時頃取り付き着。駐車場に無事戻った。

■反省点
1. 屈曲が多いルートで、終了点も目視できない状況で、懸垂でランナーを回収して戻るということを選択すべきではなかった。
(最終ピッチを登らず敗退か、ヘッドライト懸垂するつもりでリード&フォローで登るべきだった)
2. ロープを回収する前に、鷲の巣ハングまでの間でランナーをとり、安全にハングまで戻るべきだった(洞穴と枯木の懸垂支点の中間ぐらいに、信用はできないがアングルが1個あった)。
以後、同様な状況にあった場合は、反省点を踏まえて安全に行動するようにします。

岡千晶

資料1.明星山南壁トポ(雑誌ROCK&SNOW49)

 

資料2. 鷲の巣ハング付近の写真(上:コメントあり、下:オリジナル、当日上部城塞上のピナクルから撮影)