2008年2月17日 名張 中山滝事故報告

2008年2月17日 名張 中山滝事故報告
メンバー/森田L・中嶋・空本・田中・伊地知・津山

事故の概要
2/7(曇時々雪)
 名張 紅ヶ岳の中山滝にアイスクライミングに出かける。林道より(9:30)紅ヶ岳への登山道を登り途中少し谷に下ると中山滝がある。滝は高さが約40mで幅は約5mで上部は少しせばまっている。氷は全体にあるものの総じて薄く氷の下は一部水が流れているという状況である。アイススクリューはきめても確実な支点にはならない様子であるが、総じて傾斜は緩く右側の氷を登り側面のブッシュを支点に使えば何とか登れそうである。中嶋リード・田中ビレイで登攀することにする。(ザイルはシングルロープで10・5mm)ビレイの位置は滝より後方約4mの平らな場所である。(10:30)ところどころはかなり氷の状態が薄く緊張させられる。なんとか右側のブッシュに支点を数箇所取りつつ登攀する。残りの四人は滝下のナメ滝で氷の基礎練習をしている。上部30m位の所で滝の上の氷を登るのは難しいと判断し、右の草付に移ろうとして、バイルを氷に叩き込んだら、こぶし二つ分位の氷を三回落下させる。当然落下させた瞬間には「ラク・ラク」と大声で叫ぶ。その内二回目の落氷が途中の滝にあたりこぶしだいの塊となり跳ねて田中さんの額に直撃し出血する。(11:00)まず津山さんが駆け付けビレイを交代する意思を伝えるが反応なく倒れ込んでいる。森田さんが駆け付けビレイを津山さんに交代し、森田さん含む三人で止血・介抱をおこなう。その後、森田さんは下山道のふみ跡までの斜面のルート工作をする。
事故の時、森田さんが「事故だ。降りて来い。」と叫ぶも中嶋には水の音で聞こえず、終了点を作成し懸垂で下降。
滝の下部に下りると田中さんが額に止血の布を巻き意識はあるものの痛みが激しく横たわっている。
田中さんを中嶋が背負い森田さんが誘導し空本さんが後ろでフォローし、先ほどルート工作したザイルをたどり登山道まで上げる。登山道からの下りは田中さんに歩いてもらい中嶋と森田が介助して林道まで下りる。
先に下ってくれていた津山さんの車で名張市民病院まで田中さんを津山さん森田さんで運ぶ。(12:10)名張市民病院着。(13:10)


事故の問題点
① 登る前にリーダーもしくはリードが落氷や落石の危険性の注意を促す必要があった。
② ビレイヤーの立ち位置に関してリーダーもしくはリードが注意を促す必要があった。
③ もっと慎重に登攀すれば、落氷は避けられた。
④ ビレイヤーの注意が立ち位置を含めて散漫になっていた。
⑤ ビレイヤーのヘルメットの装着が完全ではなかった。
⑥ 「ラク」の声がビレイヤーに届かなかった。
⑦ 「事故だ」の声がリードに届かなかった。


今後の対応
① リーダー及びリードが新人に対して山行毎に登攀に対する注意を促す。
② 落石や落氷が起これば声を限りに叫ぶ。
③ 事故が発生した段階で登攀者に声を限りに叫び、意思が伝わったかどうか確認する。

① に関しては今後、従来メンバーで内容を決定してゆきます。
<案>
Ⅰロープの結び方
Ⅱ自己ビレイのとり方
Ⅲビレイ時の注意点(立ち位置・落石等)
Ⅳルートの確認
Ⅴコールの仕方
Ⅵロワーダウンか引き上げか
Ⅶガチャの回収方法

また、出来るだけ山行毎にレスキューの方法を伝えていく事も必要になってくる。