20240223

2024/2/23-2024/2/25 五竜G2中央稜 /小林

山域
五竜GII中央稜
日程
2024年2月23日 - 2024年2月25日
メンバー
小林(L) ちびさんぼ(他会) 愛ちゃん(他会)【※記録 小林】
コースタイム
2024年2月23日(金)
8:50アルプス平→13:00西遠見池(幕営)

2024年2月24日(土)
5:50西遠見池(幕営地)→7:00取り付き(AリッジとBリッジの間)→10:15中央稜→12:00頃GIIの頭→12:40五竜岳山頂→14:45西遠見池(幕営地)

2024年2月25日(日)
7:15西遠見池(幕営地)→9:15テレキャビン下り乗り口
詳細
2月最初の連休の山行が無くなって呆けていた私を、ちびさんぼさんが「次の連休、愛ちゃんも誘ってどこか行きましょう!」と誘ってくれた。愛ちゃんに声を掛けたら、休みを取ってくれた!前から行ってみたかった五竜G稜に狙いを定め、GII中央稜で計画を立てるも、2月の記録は全く見つからない。おそらく遠見尾根のラッセルと中央稜上がるまでの雪崩を恐れてのことか…。代案として去年行けなかった戸隠P5も考えて、直前まで悩むが、その前週気温が高かったので、戸隠は雪が減った可能性が高く、その分、五竜の雪は落ち着いているだろうということで、予定通り五竜にする。

2/22(木)21:30、梅田発。途中、雨から雪になる。初めて雪の中、運転し、さらにはそのまま一般道に突入してしまったので、少しドキドキした。4時頃、五竜エスカルプラザに到着。2時間半ほど、車中で仮眠。朝になっても雪が止まず、テンション下がるが、8:15の始発のテレキャビンに合わせ、7時半頃から列に並ぶ。山屋のパーティーもいくつか見かけて、人のトレースをアテにしている私は一安心。
 テレキャビンとリフトを乗り継いで8:50にアルプス平着。ガスの中、出発。新雪は積もっているが、先週気温が上がったおかげで、下の雪は締まっているので、アイゼン付ければ歩きやすい。途中、会社の同僚とたまたま擦れ違った。そして、予定より全然早い13:00に西遠見池に着く。G稜は全く見えないが、地図上、この辺から取り付きに向かうのが良さそうなので、テントを設営。雪が締まっているので、女子3人でも軽々、平らなテント場を作れた。偵察に行きたかったけど、視界は無いし、トレース付けても雪と風で消えてしまいそうなので、テントに入り、水作りしながら入山祝い。

「テント設営中」

「偵察に行くも視界無し」

17時頃になって、視界が開けたので、ラインを確認しに行く。以前2月に登った時より雪は少なく、記録で見ていた3-4月の様子に近いので安堵する。状況によっては一般道かG0にしようかと考えていたけど、これなら大丈夫そう!男女2人パーティーも偵察に来ていた。ちびさんぼさんが以前、錫杖で一緒になった方達で、G0稜に登るらしい。

「G稜が見えてきた!」

風が強まるが、テントに戻って、まずは水作り。私の悪い癖で、お湯が沸いたかが気になって、蓋をちょくちょく開けてしまうのだが、2人に厳しく指導を受けた。アルデでは最近こそ100均で売ってるペラペラの銀シートを持って行くことがあるが、基本的にテントシートは持っていかない。雪を掃うタワシも無いので、雪の付いたスパッツ、靴を履いたまま平気でテントの中で寛いでる。ダウンパンツに履き替える人も居ないし、全体的に適当なので、鍋の蓋で怒られることも無いまま古株になってしまった。会によって色々とルールが違うものだなと感じながら、愛ちゃんの鍋を食べて、翌日の天候を期待して、20時頃、就寝。満月でヘッデン要らずだった。

2/24(日)、4時起床、5:45出発。期待通り風も収まった。ちょうどG0稜の二人が先を歩いて行ったが、その前にも違うパーティーが居て、どうやらGII方面に向かっている。有難くトレースを使わせて頂く。夜が明けてきて、雲海が広がる中、遠くに富士山も見える。今日の登攀の成功が約束された感じがした(ちょっと姿を見せたくらいでこんな期待をされる富士山も可哀想だが)。

「取り付きに向かう」

中央稜に上がるラインには複数ある。向かって左からABCの順でリッジがあり、BリッジとCリッジの間のルンゼが真っ直ぐ続いていてスッキリしているが、前パーティーが取り付くようなので、私たちはAとBの間を上がることにする。AとBの間にある下部の岩壁を右から巻いて上がる。

「青線が先行パーティー、赤線が私たちのライン」

愛ちゃんリード。一登りしてリッジに上がったところで、「この岩壁登るのかなぁ」みたいなことを言っていたが、結局そこで伸ばしたところで切った。どうやら右の岩壁は登れないと判断したらしい。フォローで登ってみると、たしかに右の岩壁はルートでは無いし、左のルンゼに下るのもクライムダウンでは難しそう。私はそのままロアーダウンしてもらってルンゼに下りる。下から見れば、クライムダウンも出来そうだけど、二人には愛ちゃんが目星を付けていた木で懸垂してもらう。愛ちゃん、ナイス判断でした。
そこからルンゼを上がっていく。先頭をフリーで行った愛ちゃんは左のルンゼを上がっていったが、私は右のルンゼの方が良さそうに見えた。愛ちゃんに声掛けると「すぐ上から右に戻れそう」との答えで、私にもそう見えたので、ちびさんぼさんと私はコンテで右を行く。直ぐに悪い箇所が出てきたので、先を行っていたちびさんぼにそのままリードしてもらうが、すぐ合流できると思っていた愛ちゃんの姿が見えない。声を掛けると、いいところが見つからず思ったより上の方に行ってしまったよう。愛ちゃんが居ると思われる方向から雪がサラサラ落ちてきて、ちょっとドキドキしたが、ちびさんぼさんの待つ終了点に行くと少し左上に愛ちゃんが居た。

「1ピッチ目」

次は私のリード。途中で愛ちゃんに合流してもらうことにする。スカスカの雪で木登りラッセル。サングラスが雪まみれになって見えにくい。ほぼ50m伸ばし、中央稜の白いリッジが見えてきたくらいのところで切った。右上にBリッジとCリッジの間を登った3人パーティーが見えたけど、そこも木登り状態だし、ここまで来たら、そちらには合流せず、違うルートから上がった方が面白いだろう。ロープを固定して、次に愛ちゃんに登降器で登ってもらう。たまにズリっとなっても、本格的に落ちるところじゃないので、中間とラストを同時に引き上げたかったけど、下のちびさんぼとその話をしていなかったので、ひとりずつ登るしかないなぁと思っていたら、下のちびさんぼが「登ります」と言ってくれたので、引き上げを開始する。さすが経験豊富なちびさんぼさん。おかげで時間短縮になった。

「2ピッチ目」

「2ピッチ目終了点より下を見下ろす」

次は愛ちゃんリード。先行パーティーのラインには合流せず、左側を登る。「ロープ要らないですかねぇ」と聞かれたけど、そのままロープ繋いで登ってもらった。もう1ピッチで上がれるかと思ったけど、ロープ残り3mのコールを掛けても、まだ登っている。そろそろロープ引っ張って教えないとダメかなと思ってたら、かろうじて「ビレイ解除」と聞こえた。このピッチも先程同様、中間とセカンドを同時に引き上げ。登り切ると、そこはピッタリ中央稜の上だった。ここで実質登攀は終了。ロープを仕舞う。

「中央稜に上がる」

中央稜を登っていく先行パーティーが見えるが、ラッセルする程の雪の量ではないし、なんせ先行パーティーがトレース付けてくれてるので、安心。景色は最高だし、しばし休憩&写真撮影に勤しみ、GIIの頭に向かって登っていく。無風晴天で暑い!春の記録を見ると藪とガレ場のようだが、雪が付いているので、その分歩きやすい。が、ふくらはぎがすぐに悲鳴を上げて、愛ちゃんに付いていけない。こんなんじゃ今年の夏に計画しているビアンコグラートが思いやられる…。ふくらはぎ筋トレせねば…、なんて思っていたら、GIIの頭の脇に出た。

「GII頭までの登り」

ここを超えると風が強くなった。カリカリの斜面をクライムダウンすると、一般道と合流した。時間は全然余裕あるので、五竜の頂上に向かう。やはりピークに立たないと、山行が締まりませんものね。40分ほどで五竜山頂。目の前には剱がどん!実は先週は唐松に登って、その時も天気は良かったが、今週の方が剱に雲が掛かって無くて、より綺麗に見えた。やはり、剱見るなら後立がいちばん。

「五竜到着!」


「頂上からの絶景」

360°のパノラマを堪能して、下山開始。幹線道路(一般道のトレース)を利用してサクサク下って、五竜山荘に到着すると、富山から来たお二人に声掛けられた。ちびさんぼさんのお知り合いの山岳会の方らしい。ほんとにちびさんぼさんは顔が広い。

「楽々下山」

で、14:45、西遠見池のテントに帰還。こんな早い時間に帰れるとは、優秀優秀♪(まぁ、人のトレース使いまくっていますが)。そして、なんと愛ちゃんが担いでくれたビールがある♪。片付けもそこそこに、外で乾杯。登ったルートを見ながら、安堵感に浸り、祝杯を上げる幸せ…。

「かんぱーい!」

日没近くまで外で宴会し、その後はちびさんぼさんの餃子鍋&味噌ラーメンを頂きながら、女子アルパインクライマーのあるあるネタで盛り上がる。今でこそ鬼ちゃんがたまに付き合ってくれるが、アルデでは女子会員が定着しないので、なかなか新鮮だった。それぞれ持ってきた酒(池田さんのウイスキー、私と愛ちゃんの焼酎)を飲みつくして、就寝。

2/23(日)今日は天気が崩れるので、始発のテレキャビンに間に合わせるつもりで、4時起床にしようとしたが、二人から猛反対を受けて5時起床にしたのだが、さらに15分ほど寝坊。早くも雪がチラつき始めている。朝食を食べ、テント撤収し、7:15頃下山開始。

「さよなら五竜」

途中、大遠見辺りで、G0に登ったパーティーのものと思われる立派な雪洞を発見。雪の吹き溜まりを利用して上手いこと作っている。高さも大きさもほど良く、入り口の階段も完備。若そうな二人だったけどその力量に感心した。途中、ちびさんぼさんと愛ちゃんがそれぞれお知り合いに会い、なんだかやたら知り合いによく会う山行だった。9:15にテレキャビン駅に到着し、楽々下山。10時からやっている木崎湖温泉ゆーぷるへ行く。併設されている山道具屋に寄ったら廣川健太郎さんのお店で、校正中の「チャレンジアルパイン南ア編・改訂版」を見せて頂いた。八ツのアイスや戸隠などが増えていて、3月末発刊予定とのことです!
その後、温泉近くの「花ノ木」という洒落たレストランで、ハンバーグのランチ。期待以上に美味しかった。いつもはSAでさっと済ませることが多いけど、時間に余裕があるって素晴らしい。帰りも1時間半程、運転手伝って、だいぶ高速の運転は慣れてきた気がする。ただ、外れにしか駐車出来ないので、もう少し駐車力を身に付けたい。
感想
初めて組むパーティーでリーダーをすることになり、さらには五竜のG稜は皆が初見。天気予報も微妙だし、緊張する部分もちょこちょこあったが、皆実力者だし、登攀日の天気は最高、雪の状態も良く、帰りのランチに至るまで、大成功の山行になった。五竜のバリエーションは初めてだったけど、西遠見池にBCを張れば、いくつか登れるし、不帰のバリエーションも同様に春の合宿にもいいと思った。ただし、最近の傾向だとGWには雪が無い可能性大。もはや日本では「厳冬期」という言葉は死語になりつつあるのかもしれない。